新デジタル・デビル・ストーリーで中島朱実は
北明日香に主人公の座を譲ってはいるが、
作者をして新DDSは朱実と弓子が結ばれるまでの物語といっているのだから
まだまだ朱実パワァはその死後まで全開なのである。ここでは中島朱実の死後から
天使(エンジェル)に転生した中島朱実が
時空を超え再び想い人、白鷺弓子と再会するまでを検証してみたいと思う。
> 中島朱実出番チャート
> 天使降臨への道
中島朱実出番チャート
主人公の座を譲った中島朱実の出番は格段に少なくなってしまったので、ここで一挙に出番をまとめてみた。
新DDSで中島朱実の扱いは肉体と魂と別々になる。
この二つが一緒になる事は二度となかった。
なお、肉体の動向には白鷺弓子をつる為のおとりなどの動向も含めてある。
肉体(おとり含)の動向 魂の動向 DDS3 イザナミによって白鷺塚へ運ばれる。 イザナミが現世に出陣してしまっている為、黄泉を漂泊中。
もしくは転生の円環のなかで転生待ち。NDDS1 サンジェルマンの創り出したホログラフとして登場。 タニグクの反魂の術でサンジェルマンのホログラフに憑依し、一時的に現世に蘇る。 NDDS2 登場無し
白鷺塚羨道で肉食苔に食われそうになっている明日香の前に霊体で出現。
明日香に忠告をする。NDDS3 黄泉の岩戸内の水晶の棺に安置され、正気を失った弓子を黄泉に縛る為に利用される。 登場無し
NDDS4 スノリ作、赤い炎のスクリーン映像として弓子を惑わす。
岩戸内の遺体にストクの怨霊が憑依する。
朱実の霊により肉体は消滅する。明日香の体内で彼を惑わすナリをこっそり成仏させる。
ストクと対決する明日香の前に現れ、自らの肉体を消滅させる。
弓子との再会を約束し新たな転生へと向う。NDDS5 登場無し
登場無し
NDDS6 登場無し
2020年、転生後の「エンジェル」フィード教授にインドで発見される。
半年後、黄泉にて白鷺弓子と再会を果たす。
天使降臨への道
中島朱実登場シーンを中心に弓子との再会までの道程を追う。
磔台から開放されたのはイザナミではなく白鷺弓子であった。
正気を失い、亡き朱実の姿を追い求め徘徊する弓子の前に舞い降りたホログラフの中島朱実が優しく語った言葉。
朱実を追うつもりで自らを傷つけ命を絶ったはずの弓子。しかしながら、イザナミが彼女の体を支配する事によって弓子の魂は現世にとどまったままだったようだ。そして、その意識もその時のまま凍ってしまっていたのだ。
「だから私をおいていかないで!」 と叫んだ弓子の言葉が悲しすぎる。
朱実を追う事も許されなかった、器としての弓子の魂の叫び。
サンジェルマンのこの作戦の成功を始まりとして、「中島朱実のカタチをしているものならばなんでも白鷺弓子を釣ることができる」ということが立証される。
この状態ならば、ホログラフなんかじゃなくてお面でも釣ることができたのではないか(じょ、冗談だって)。
タニグクの反魂の術によってサンジェルマンの実像ホログラフに憑依し一時的に蘇った真の中島朱実が、明日香達に攻撃をしかける弓子を制止した言葉。
自分が死んだ事を受け入れようとしない弓子を諌める朱実。
どうやら彼は彼自身で結構いろいろがんばっていたようなのだが(「(前略)どんなことをしても君のそばに行けなかったのに(以下略)」[発言:怒りの妖帝 第二章――転生の果てにより])、今まで自分の力では現世に干渉できず、朱実はさぞ気をもんでいたに違いない。
だが、彼の言葉も弓子の狂気を去らせるには至らなかった。
白鷺塚の羨道より玄室に向う途中、黄泉の肉食苔に襲われ意識の遠のく明日香の前に亡霊として現れる中島朱実の忠告。
初めて北明日香に向って発した朱実の言葉。
死者の魂を引き寄せる明日香の形質を見抜いているようだ。生身の時より役に立つぞ、中島朱実。
「〜したまえ」とはなんだか少し偉そうであるが、父親の威厳かただの人見知りか・・・。
しかし言葉の厳しさとは裏腹に、明日香を見守るまなざしは始終優しいのである。
ここで北明日香は中島朱実へ向けられていた憎しみが、嫉妬に由来する場違いなものであったと改心し、「中島」よばわりから「中島さん」へと呼び方が変わる。
黄泉の宇賀山岩戸の水晶の棺に安置された朱実の亡骸に文字通りすがりつく弓子の背中を見つめ、明日香は思う。
確かに中島朱実ならばいつまで見てても飽きないであろうが、物言わぬ屍では意味のないことである。
思い金は、弓子をイザナミの機能をはたす者として黄泉に縛り付けるために朱実の亡骸を利用した。だがそもそも黄泉に朱実の亡骸を運んだのはイザナミ自身である。
イザナミはなんの為に彼の亡骸を運んだのだろう。「転生の終焉」では「こころづくし」とあったが、弔いの意味であったのだろうか。ならば保存することは無い。
今後のことすべてを見とおしたイザナミの策略か、それとも思い金の独断か。
前者とは考えたくないが、どちらにしろ黄泉の機能を停止させるわけにはいかない義務感の成せる冷徹な判断なのだ。
肉体の持つ形質のためだけに翻弄される白鷺弓子は不憫である。心を閉ざし、殻に閉じこもる弓子に明日香はかける言葉がみつからない。ただ、同じ弓子を慕うものとして朱実も自分と同じ気持ちであるに違いないと思ったのだろう。
明日香の体内に巣食い、魔族側に寝返らせようとするナリを説得する朱実の言葉。
「同じ悲しみ」とは愛するものを残して先に逝ってしまった事だろうか。愛する人が第三者の思惑で不自然に生かされている事なのだろうか(ナリは肉体が崩壊した状態にあってもなおルシファーの支配を受けている)。
ナリに「恨みは忘れ」て「静かに眠れ」といった言葉が、「亜矢と同じ悲しみを背負」った自分だからこそわかるというのならば、イコールでないにしろ、朱実は弓子に静かで平穏な暮らしに戻って欲しいと思っているのだろう。
悲しいかなそれを伝える手段を朱実は持ち合わせていない。
「転生の終焉」のあとがきでは「生涯の最後の数分間決して不幸ではなかった」と有るが、どうやら死後の朱実はかなり大きな苦しみや後悔をしょってしまっているようだ。
巨人族の猛攻に陥落寸前の宇賀山砦でなお朱実の亡骸に執着する弓子を殴った明日香の言葉。
一巻の間に明日香は成長したようだ。「神魔の惑星」ではかける言葉すらもみつからなかったのに。
しかしあまりいい意味ではない。
大人になってしまったのだ。
自分の弱さに頼って、生きていく女がいたっていい。
しかし白鷺弓子にはそんな生き方は許されないはずであった。
そんなふうに思ってしまうのでは、黄泉で人としての性を捨て、イザナミとして転生を担わなくてはならないという思い金や大和神族達の考えと同じである。
だが、弓子の瞳に「ただ本当に中島朱実を愛していたいだけなのに」という切ない思いを見て、すぐに明日香は彼女に浴びせ掛けた言葉を後悔する。大人と子供の間を行き来する少年らしさである。
白鷺弓子とて、一人の女ある。人一人に掛けられる加重として、イザナミの器としての運命はあまりにも重すぎる。
ついにめぐりあい言葉をかわすことの叶った朱実の魂と弓子。
しかし逢瀬の時間はあまりにも短い。朱実は次なる転生へと身を投じなければならない。
彼は約束する。幾千年掛けても弓子の元へ辿り着くと・・・。
編集長(管理人)的には新DDSでの朱実と弓子の愛の軌跡(笑)中最も盛り上がったのが朱実出現率No.1の第4巻である。そして「中島朱実」としての登場はこれが最後となってしまう。
何千億、何千兆もの確率の中からめぐり合った朱実と弓子。それを再び朱実は成そうというのだ。
幾千年では到底足りないと思われる。中島朱実よ、その自信はどこから湧いてくるのだ!?
否、神代より数千年で邂逅を果たした事を思えば、弓子の居場所は固定しているのだから確率的には格段に上がるのだろうか。
それにつけても壮大な話である。
転生を果たした中島朱実はフィード教授と奇跡的に出会い、そして飛鳥。白鷺塚から黄泉へ。
二十余年の歳月を超え、朱実はようやく弓子のもとに辿り着いた。
姿形は変わってしまったけれど、その意志は紛れも無い中島朱実そのものであった。
ようやく幸せな2人の姿を拝めたシーンである。
フィード教授もケルベロスも感無量。
今後、4〜5つの外見上の年の差がどう影響を及ぼすのか、彼等は一生黄泉で暮らすのかなど謎は残るが、とにかくお幸せに・・・・・・。
さて、ここで我々はこんなに早く彼等が出会えた事に関して、理由を追求せねばなるまい(そうか?)。
1.核攻撃とそれに伴う気象の変化で人間自体の数が減っている。
2.転生が不完全だった為、エンジェルには朱実の記憶が残っていた。
3.多分エンジェルには超常的な能力がある。
と、この3点があげられるだろう。
まず、第一に、物理的に人間の数が少ないので、出会う確率も高くなるはずである。
第二に、そもそも朱実が転生の円環に身を投じた時、同時にストクも転生を果たしている。
ストクは前世の記憶をそのまま持って生まれ出た。となると朱実もその記憶をそのまま残している可能性は高い。
しかしながら黄泉にいたるまで日本語がしゃべれなかったのがやや疑問である。隠していたのか、弓子に近づくにつれ朱実の記憶が鮮明になってきたのか・・・。
続いて第三に、エンジェルはどうやら見つけられやすいような場所(岬の突端)で、日本に行くべき手段を探していたような気がする。
フィードが近くにいると察知し、彼に居場所を示唆できたこと、さらにたったひとりで死の灰降り積もる世界で生き抜けたこと(捜索隊の捜索も報われず、彼以外の人間は見つかっていない)などを考慮すると、エンジェルには超常的な力が備わっていたと思われる。
でなければ、彼こそはもしかしたらイザナギの加護を受けられていたのかもしれない。
DDSの原点 >>アケミマニアックス >>天 使 降 臨 | |