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July-August

--- Digital Devil Story 2 ---

 

 

 

  1. 「嘘だ!ぼくはあなたになど会いたくはない」
    [7月下旬 魔都の戦士 第一章――帰還より ]

     激しい死闘の上、ロキを退け白鷺弓子の復活を果たした中島は、イザナミの神力により現世へと送り返されようとしていた。
    今はひたすら弓子と一緒にいたい。この外界から隔絶した空間の狭間でいつまでもいつまでも一緒にいたい。
     それは中島の逃避でしかなかった。イザナミは彼が今一緒にいてやらねばならないのは母であると示唆する。

     中島にとって母とは今までの暗い過去・現実そのものであった。激しく反発する中島。
    家庭を顧みない母。自分をほったらかしにし、好き勝手に飛びまわる母。
    自分がこんなになってしまったのは、十分に自分を気にかけてくれなかった母のせいだ!
    まるっきり小さな子供のような不満が溢れ出してくる。
    突き放すかのように母を「あなた」と呼んだ。

     しかし、母の悲しげな顔を目の当たりにすると、そんな思いは一瞬のうちに飛び越えられてしまうのだった。数々の試練を受け、再び現世に舞い降りた中島の瞳には、人を愛することを知った者の輝きが宿っていた。
     束縛すると逃げていってしまうのではないか?
    今までの母の無関心はそんな思いの結果だったのではないだろうか。今の中島にならその気持ちが理解できた。
    実際中島の母親はどの母親とも同じように深く中島のことを愛していた。
     母の背に顔を預け、彼は何を思ったのだろう。



  2. 「これで何もかもお話したと思います、フィード教授」
    [発言:7月下旬 魔都の戦士 第二章――胎動より]

     中島の入会していたISG設立者チャールズ=フィード直々の訪問であった。
    以前の中島であったなら、心踊る面談であったはずである。
    しかし、自分の犯した罪の分はもう始末をつけたつもりでいる彼にとって、それは疎ましいもとしか思えなかった。虚ろで気のない返事しか返さない中島。

     知識、経験ともに自分より積み重ねているはずのフィードに中島は全てを吐き出した。
    楽になれるかもしれない。全ての重荷をフィードが肩代わりしてくれるかもしれない。
    幸い内閣調査室の成川も殺人は立件できないと言う。
     この時彼はそんな甘い考えに支配されていたのではないだろうか。
    ちなみにカミングアウトする事によって楽になりたいという中島の気質については3巻でも証明されている。

     後はどうにでも決着をつけてくれ・・・。
    口では協力を承諾したものの、ただ虚しいばかりであったに違いない。



  3. 「君は、ぼくの母さんを・・・・・・」
    [発言:8月12日 魔都の戦士 第三章――セト降臨より]

     愛する母親は愛する弓子の手にかかって命を落とした。

     ぎこちなくもようやく母子の生活を順調に送る事ができるようになった矢先の出来事であった。
    母は悪魔に操られていた。
    もしかしたら正気に戻るかもしれないという淡い期待を持っていたのか、このまま母の手にかかって死ぬのも自業自得と思っていたのか、とにかく中島は弓子の助力を制止しようとした。
    もちろんとっさの判断の弓子にそこまでの状況が飲みこめるわけもない。
    激情に流されるまま口をついて出た言葉は、家族を失い、中島によりどころを求めようとした弓子の心をさらに深く傷つけることとなった。

     純粋に中島を助けたいが為の弓子の行動であったのだか、そんな気持ちを何故くんでやれなかったのかと彼を責める事は誰もできないであろう。
    中島と弓子の再会はあまりに不幸なシチュエーションであった。
     この母親の死を機に中島は、悪魔と正面から対決しなければ今後の安息は得られないことを悟る。



  4. 「・・・・・・愛情も義務感の一種なのかもしれませんね」
    [発言:8月某日 魔都の戦士 第五章――緒戦より]

     セトに捕まった弓子を助けられるのは自分しかいないと、日本政府から見放された退魔プロジェクト推進室から出ていこうとする中島。
    フィード教授が半ば皮肉を込めて「日本人ってやつは、義務感でしか動けんのかね?」と言った言葉に返していった台詞。

     人一人を愛した時点で、広い世界、大勢の人間の中からたった一人にしかできない限定されてしまう事柄がある。
    「自分しかいない」という認識を「義務感」と言っているのだろう。



  5. A ―――(前略)自分は神などではありたくない。人として生き、人として死んでいきたい・・・・・・。

    B ――― もし本当にぼくがイザナギの転生なのだとしても、やはりぼくは神にはなれない。(中略)イザナミ神から授かった力の全てを、弓子のために、たったひとりの愛のためのみに使おうとしている・・・・・・
    [発言:8月某日 魔都の戦士 第七章――宇宙へより]

     天かける力を持つイザナミの衣を授かった中島は、弓子を救う為にセトの肉体が降臨しつつある蘇我の森へと直行する。

     弓子とイザナミのつながりについては深く書いてあるが、中島とイザナギとの関係はあまり触れられていなかった。しかし、ここにいたって中島はイザナミの衣をまとう事によって体質自体が変化しつつあるような記述がある。
    しかも、「愛の為に」と思いこんでいることすら既に「個のために全体を滅ぼすこともいとわないという所業」であり、それは「神の気紛れの常套的な表れ方」あるという。
    とすれば、次項の台詞はその極みであろう。

     確かに普通の人間であったなら、中島は弓子を助けることができただろうか?
    神の性質を受け継ぐものであったからこそこんな状況下で彼らは愛を貫くこともできたし、50億人の人間を危険にさらす事もできた。
     多分編集長(管理人)が2巻に共感を覚えないのはそのせいなのかもしれない。

     物語の主人公は困難を打ち破る為に力をつけなければならない。困難が超常的であればあるほど主人公も怪しげな技や術を身に付けなければならない。
    中島は相変わらず考えは甘いし、自分の都合のいい方にしかとらなかったりする。でも2巻の中島は物語の主人公として優等生すぎるのだ。
    神の力を行使しまくって、セトを倒し、弓子を救った。
     八百万の神も結婚もするし、相手のえり好みもする。憎みもするし、マザコンであったりする。
    きっと深く愛だって語るのだろう。
    中島と弓子は神の転生であって、普通の人間とは違うのだ。
    神になりたくないという中島の心とは裏腹に、根本的に何か普通の人間とは違ってきてしまっていたというのだろうか?
    そう思うと急に中島との間に距離が感じられてしまう。



  6. 「五十億の人間より、ぼくは君一人を選ぶ!」
    [発言:8月某日 魔都の戦士 第七章――宇宙へより]

     さて、これが編集長(管理人)イチオシであった、おしも押されぬ名言・・・迷言である。
    弓子を助ければ、人類を危険にさらすことになる。しかし、中島はこんな台詞を言ってのけ、迷わず人類を危険にさらしたのである。

     初めて『魔都の戦士』を読んだ時は、それはそれは浪漫チックに受けとめた記憶がある。最後の結びに対して、ラストにしては小学生なりにちょっと不安を感じてはいたのだが。
     最近は、どちらかというと50億人側に回って受けとめてしまっているような気がする。悪魔のはびこる世界にこれから生きていかなくてはならない人類はどうなってしまうのだ!?と。
    これは小説なんだから、掛け値なく中島と弓子を祝福してもいいのだろう。しかし、歳を重ねるごとにそんな冷静なツッコミをかましてしまうところ、汚れてしまったのですね・・・編集長(管理人)は・・・。
    そう思う今日このごろ。

 

 

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