DDSの原点 >> 捕われの女神ストーリーダイジェスト |
新デジタル・デビル・ストーリー | 出版 徳間書店 著者 西谷 史 初版 1990年5月31日 |
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捕 わ れ の 女 神 |
主人公が代替わりし、新デジタル・デビル・ストーリーとしての第1作目。 |
Ξ 第一章 弓子復活す Ξ
199X年。中島朱実亡き後、日本は三権にいたるまでルシファーに掌握されていた。悪魔は一般人とは隔離された解放区に住まわせ、表向きには中島朱実の呼び出したものが悪魔の全部で、それらは全滅し、この世に悪魔はいなくなったということとなっていた。
白鷺弓子の体を仮の宿としたイザナミは、諏訪にて魔族と戦うも、その数の多さに 敗北を余儀なくされた。
十字架にはりつけられ、心臓には杭が打たれ、さらしものとされていたイザナミを 転生した大和の神タグニグが復活させようとしていた。
反魂の呪法によってイザナミは息を吹き返す。しかしそれは女神イザナミではなく、白鷺弓子その人であった。夢遊病者のように弓子は中島の幻影を追い続ける。ルシファーの参謀として現世に顕現した魔術師サンジェルマン伯爵は、魔族が現世に姿をとどめる為に必要な生体マグネタイトの供給源として、正気を失った弓子を手中におさめた。サンジェルマンの用意した中島のホログラフに心を奪われる弓子。
サンジェルマン 「イザナミは白鷺弓子の体を奪う際、彼女を殺さず単に大脳の一部を麻痺させていた。そしてイザナミの魂が消滅した後、白鷺弓子は本来の姿に戻った。そう考えれば、理論的な説明がつきます」
『捕われの女神』P33より引用
Ξ 第二章 継ぐ者たち Ξ
それから1年。4月。
北明日香はちょっとワルぶったところのある、十聖高校2年生男子。規律正しい校風にそぐわず居心地の悪い高校生活であったが、それでも彼が十聖高校を志望したのは、3年前同高校が凄惨な事件の現場となる前に見かけた白鷺弓子にデジャヴを感じたせいであった。ある日明日香のクラスメイト木戸礼子が、彼にコンタクトを取ってきた。
悪魔は平常人間の姿をしていても新陳代謝時にX波という波動を発する。それを目視し、その正体を見破れる能力のある者が極稀にいる。自分がそうだと告げるとともに、明日香もそうではないかといか?というのだ。確かに明日香には思い当たるふしがあった。礼子との間に微妙な間隔をあけながら、詳しい話を聞けずにいる自分にいらだつある夜、明日香は不思議な夢をみる。自分は赤子の姿で、白鷺弓子はその母であるという夢。そして弓子をイザナミと呼ぶ男の顔は確かに中島朱実のものなのであった。
十聖高校に治安自治省の役人が訪れ、巡回講演と称して超常的な能力を持つ者、反政府的な思想のものを狩り出すカリキュラムを実行していた。最新視聴覚システム(デジタル信号を脳波に変換しバーチャルリアリティを実現するステム)で脳波をモニターされる生徒達。
反政府組織「十字軍」に加わりもとより目を付けられていた礼子は、この調査で能力者ということが判明し、治安警察に連行されようとした。
とっさの判断で礼子を助けてしまう明日香。礼子は自分が治安警察が目の敵にしていたローマ法王庁退魔十字軍東京支局のメンバーであることを明かした。
先進国の9割が悪魔に支配されている…十字軍のコスタ神父の話す事実は、明日香にとっては到底信じ難いものであった。ただ1つ、白鷺弓子の名に、彼女が神の転生であり特別区で生きているという噂に、明日香は十字軍と行動をともにすることを決意する。
十字軍メンバー 「木戸を助けてくれたことには感謝するが、ずいぶん派手なことをやったね」
明日香
「どうでもいいけど、今日の事件がなけりゃこんなとこへは来ませんでしたよ」
『捕われの女神』P84−85より引用
十字軍の地下アジトが治安警察に見つかる。明日香は礼子、コスタ神父とともに地下下水道から成り行きで特別区に潜入することになった。しかし、特別区に入ったとたん待ち構えていた治安警察に取り囲まれてしまう。
Ξ 第三章 無法の街 Ξ
明日香、礼子、コスタ神父の3人は、解放区という名の無法の街に捕われの身となった。謎の監視ロボット、殺人がゲーム(フェスタと呼ばれる)と化した常識の通じない街。
とりあえず、ひょんなことから助けた美少年キララを金で雇い、不自由ながらも当初の目的通り白鷺弓子探索を始める事になった。特別区最初の夜、明日香は再び不思議な夢を見る。中島の顔をした父親に怒りをぶつける自分。そして自分をスサノオと呼ぶ少女。
明日香達はキララのパトロン女郎屋の八雲からの情報で、田代という男に会う。
彼こそは聖セイレーン教団の創設者であり、かつて中島と弓子を陥れた人物の一人であった。白鷺弓子が神を転生させた場面を目の当たりにした彼は、教団無き今、それまでの自分の行いを悔い、自殺によって次なる転生を待つこと教義に宗教活動を続けていた。
田 代 「ここは、人を苦しませるために悪魔がつくりだした人工都市なんだ。彼らはここでは、人が愛しあうことも、くつろぐことも許さない.徹底的に人をいがみあわせ、殺しあわせるんだ。彼らに反抗する唯一の道は自ら命を絶つこと。だから私は自殺をすすめる」
『捕われの女神』P142より引用
田代は、特別区は人間の苦しみによって生じる磁気エネルギーを回収し、悪魔が養分とする為のプラントの役割をしているという驚愕の事実を明日香達に語った。そんな折、特別区の日課、殺人ゲームのターゲットを決定するルーレットで礼子が選ばれてしまう。
田代に逃がしてもらったものの、町中の人間の追っ手から逃げおおせられる訳がない。
キララに頼まれ、八雲はある手を打った。何故か礼子が殺人ゲームの標的から外された。治安警察の出頭命令に従い、一人連行される礼子。
Ξ 第四章 救出行 Ξ
八雲が打った手とは、特別区の支配者バートリの元に礼子を送ることによって、明日香とコスタ神父を助けるというものであった。伝説の女吸血鬼と呼ばれたバートリは美女を拷問し、その死体を剥製にする嗜好の持ち主であった。二人を助けるために、礼子一人を犠牲にしたというわけだ。
当然明日香は黙っているわけがない。明日香、コスタ神父、田代、キララは、バートリの屋敷から礼子を助ける為に、そして捕われていると思われる弓子を助ける為に潜入するのであった。まさに拷問にかけられようとしていた礼子を見つけた時、怒りにまかせた明日香のスサノオの形質を受け継いだ力が解放された。礼子を助け、すさまじい力で悪魔をなぎ倒す明日香。
そして、ついに捕われの女神の元に辿り着いた。しかし一行の見たものは、中島朱実の実像ホログラフに正気を奪われた白鷺弓子の姿だった。
サンジェルマン 「君と議論するつもりはない。私のやり方が、長い目で見れば人類のためになることは、やがて歴史が証明してくれるだろう。北明日香の力を確認した以上、君たちは不必要だ。捜し求めた女神に殺されるがいい」
『捕われの女神』P200より引用
弓子は正気を取り戻させようと必死に説得を試みる田代を一瞬のうちに燃やし尽くし、明日香、礼子にも容赦なく力を振るった。
強大な女神の力に、なす術もなくなったその時、タニグク神がようやく諏訪から特別区に到着した。そして反魂の術を駆使しすると、ホログラフに中島朱実の魂を憑依させることに成功する。
朱 実 「田代のいったとおりだ、僕や彼と同じ間違いをおかしてはいけない」
「弓子、自分に負けてはいけない。ぼくは・・・・・・」
『捕われの女神』P206より引用
タニグクの反魂の術がいつまでも持つわけもなく、ホログラフはもろくも崩れ去ってしまう。
二度までも目の前で中島を失った弓子は、絶望の叫びと共に天空へと飛び去っていった。
崩壊するバートリ邸。
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