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DDSの原点 >> 怒りの妖帝ストーリーダイジェスト
新デジタル・デビル・ストーリー4 出版 徳間書店
著者 西谷 史
初版 1992年4月30日

 

 
朱実君、転生の環の中へ・・・

 ニブルヘイムの魔族との黄泉大戦で大和神族は壊滅してしまいます。そのどさくさに紛れて日本最強の怨霊ストクが蘇ります。続く大天使ガブリエルの出現で、対立構造は魔族VS神族から魔族VS神へと移行します。(狡猾なルシファーは唯一神との直接対決は避けているようです)
 ヘル&スノリの姫様&爺やコンビが結構気に入ってたんですが、スノリが欠けちゃって残念です。そして、中島朱実は悲しいかな中島朱実としてはこの巻が最後の出場となります。

 

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   原 本 構 成  
  第一章 >>妖帝復活す  
  第二章 >>転生の果てに  
  第三章 >>反撃する人々  
  第四章 >>崩壊の序曲  
  あとがき  

 

Ξ 第一章 妖帝復活す Ξ

 同化した悪魔ナリの力の為に怒りに身を任せ、同胞であるはずの思い金を攻撃してしまった明日香は、同じ大和の神族に追われ、結果的にベルゼブーにその身柄を助けられる事になってしまった。
ルシファーからの命により、ベルゼブーは明日香の体内のナリと共に魔族と手を組むよう誘った。悪魔の甘言に心を許そうとした明日香を救ったのは、目に見えぬ中島朱実の霊であった。
朱実はその悲しみの波動で憎しみに燃えるナリの魂を鎮め、明日香をその支配から解放した。

 明日香とベルゼブーが戦線を離れ一時的に退避した先は、ジグラトと呼ばれる田力男(たぢからお)の守護する崇徳上皇を封印する古墳だった。
宇賀山砦からの連絡を既に受けていた田力男は、明日香との出会い頭、いきなり殺しにかかってきた。

田力男

「われわれ、大和の神族は、この黄泉を守ることが使命だ。自分の使命よりも、人の情愛を重んじるような者は、仲間ではない。貴様は前世からそうだった」

『怒りの妖帝』P23より引用

明日香とベルゼブーの攻撃を受け、弱った田力男を崇徳の怨念のこもった蝶がとり殺した。その真の正体も解らぬまま蝶に導かれ二人は古墳の中心へと導かれる。
導かれた先に斬首されたベルゼブーの愛馬キサナドゥーが、そしてその首がさらに奥へと二人を誘った。

 大和神族はニブルヘイムの魔族の猛攻に防戦一方であった。
十字軍リーダー・コスタ神父と礼子の弓子を返してくれるようにとの神族達と交渉の最中、崇徳の封印に異変のあったことを思い金が感知した。
色を無くし交渉を中断すると御名方が様子を伺いに現地へ赴いた。そこに明日香のいることを知った礼子もケルベロスとともに後を追う。

 明日香達が辿りついたのは、崇徳の怨霊の封印された水晶像の鎮座する部屋だった。
二人は崇徳の凄まじき呪いの軌跡を幻視によって垣間見た。
言い知れぬ恐怖に止める明日香を振り切ってその封印を解いたのは、怨念に魅了されたベルゼブーであった。
大和神族に封印されて以来800年振り解放されたストクは、数多の亡者を引き連れ、イザナミの転生の力を求め宇賀山砦へと行進を開始した。
 そこへ明日香を追ってきた礼子が鉢合わせをしてしまう。礼子を魅了しようとしたストクの力をきっかけに、彼女はその前世をはっきりと目にする事になった。

藤原 信西

「崇徳様は、そなた様と同じ、魔性のお方じゃ。呪いをとけば必ず猛き味方となりますぞ・・・・・・」

『怒りの妖帝』P49より引用

 姉弟の契りを禁じる神族達の追っ手から自分(アマテラス)を連れて逃亡する明日香の顔をした弟スサノオ。そして容赦無く二人を引き離すイザナミ。
 礼子のアマテラスの体質はストクの魅了の呪縛を受けつけず、礼子はストクの魔手を逃れて明日香の元へ急いだ。そして礼子は、助けたベルゼブーを担いだ明日香と再会する事ができた。

 


 

Ξ 第二章 転生の果てに Ξ

 敗戦色濃い大和神族陣にさらに、御名方からストク復活という絶望的な知らせがもたらされた。
同時にヨルムンド号でもストクの出現を補足していたが、宇賀山砦にとどめを刺す事を優先させたヘルは総攻撃の命令を下す。
思い金に操られて弓子が参戦するが、朱実を認める振りをしイザナミではなく弓子に訴えかけるというヘルの謀略は的を射た。
ヘルは弓子と戦う事無く、黄泉の実権の移行に成功した。
 御雷・猿田彦が命を落とし、御名方、ウズメは砦を放棄し敗走した。
個々の力は強いがあくまで個人プレイにすぎない大和神族達は、緻密な計算の元に理論整然と行動する軍隊に次第に押され、ついに宇賀山砦は陥落した。

 十字軍と合流した明日香と礼子は、ヘルとストクの衝突に乗じ弓子救出に出る。

コスタ神父

「いまの彼女は、己の心を守るために人を犠牲にしていとわぬ鬼だ。大和の神族を見殺したうえに殺されていく黄泉人を、助けようともしない」

礼 子

「だれだって、大切なものは守りたいです。弓子さんが間違っているのは、亡くなった朱実さんを、生きていると思い込んでいる、それだけだと思うんです。その誤りさえ、気づかせてあげれば、正気に戻るかもしれない。私はそれに賭けてみたいんです」

『怒りの妖帝』P92より引用

 ストクの行進は確実に宇賀山砦に近づきつつあった。
ヘルはストクとは合い入れぬ事を直感し、その進攻を阻もうと攻撃をしかける。しかし、実体を持たぬストクには物理攻撃は通用せず、彼女を守る為に唯一心を許していた参謀であり、育ての親であり巨人族の長であるスノリは命を落とす。

 弓子救出に明日香達が駆けつけた岩戸では、相変わらず大和神族の死闘にも一切関心を示さず、弓子が朱実の亡骸に寄り添っていた。
わがままな小娘のように駄々をこねる弓子と、明日香の間で岩戸を離れる離れないで押し問答を続けている間に、ついにニブルヘイムの魔族を退けたストクが岩戸を打ち破って到着した。
 ストクの目的は、転生の力の源であるイザナミの協力を得、通常は記憶の消去、浄化の上転生するところを、過去の記憶、ストクの復讐心をそのままに現世に転生する事だった。
朱実の亡骸に憑依したストクは、その姿で弓子を惑わし、彼女の中の転生の力の源を利用し浄化されぬ魂を現世に送りこみ始めた。

ストク

「貴様は死んだ後も、黄泉で想い人に守られてきた。この私は、骨となっても都に帰ることあたわず、辺境の山に埋められ、墓守さえおかれることなく、捨てておかれた。(―― 中略 ――)この無念さが、貴様にはわかるか?」

『怒りの妖帝』P117より引用

 全くストクに歯が立たぬ明日香達を救ったのは、やはり中島朱実であった。
朱実がストクのとり憑いた自らの肉体を崩壊させると、弓子は漸く正気を取り戻す事ができた。
しかし、言葉を交わしたのはほんの束の間、朱実は新たな転生の為に弓子に別れを告げた。
幾千年かけようとも再び弓子の元に辿りつこうと、約束して・・・。
 そして、倒されたと思われていたストクも呪いの言葉を吐き散らしながら転生の輪の中へ身を投じていった。

 ベルゼブーは、ストクの復活、転生とその強大な力を味方にすべきであるとルシファーに報告する為に、往路とは別の黄泉比良坂の次元の回廊側から現世へと戻った。
 一方スノリを失ったヘルは、彼の最期の助言通り、もう一人の兄ヨルムンガンドを呼び寄せ、黄泉と地球の破壊を誓う。

 


 

Ξ 第三章 反撃する人々 Ξ

 報道カメラマンのサイモン・ケルビンは単独で東京に居を構えるルシファーと米国の関係を探っていた。
そして彼は、巡洋艦クルセイダーに悪魔がらみの取材の内に知り合ったフィード教授に直接真相を確かめる為に訪れた。
世界中の国々が悪魔の支配下に置かれる中、米国だけが独立を保持できたのは、米国魔術界の首領であるフィードがルシファーに対抗し得る悪魔を中枢に送りこんだ所為ではないかと勘繰っていたのである。
 真相は似たようなものだったがアライメントが逆だった。
米国を魔族の手から守ってきたのは米国副大統領であるジョン・クォーク、天使長ガブリエルであった。

クォーク

「頼むよ、ドクター。ことは急を要するんだ。なんとか魔族と日本人を切り離さないと、われわれは日本人を全滅させざるをえなくなる。そうだ、ケルビンくんを十字軍の広報で使ったらどうだ。日本人に悪魔の存在を認めさせるには、最適の人材だ」

『怒りの妖帝』P137より引用

 十聖高校二年の野村健吾と原絵里は北明日香の友人である。絵里に至ってはかつて明日香に淡い恋心すら抱いていた。彼らは、明日香が礼子とともに政府によってテロ団体と認定された十字軍に参加したことにはそれなりの理由があるに違いないと信じて疑っていない。
故に彼らは大量行方不明事件などの原因不明の怪事件を独自に調査、それが悪魔の仕業であることを啓蒙しようとしていた。
しかし、所詮は高校生の知恵。逆に秘密裏に悪魔に抹殺されかけたところを、十字軍メンバーの成川に助けられた。
そしてそのまま十字軍に参加し、健吾と絵里は大規模に展開を始めようとしていた広報活動に協力する事となった。
 サイモン・ケルビン撮影の悪魔による虐殺現場を大々的に載せた偽造新聞が、正規の新聞とすりかえられ、東京の駅構内に並んだ。

 


 

Ξ 第四章 崩壊の序曲 Ξ

 黄泉より戻ったベルゼブーは、ルシファーにストクが蘇り、転生を果たそうと地球に向っている事を伝えた。
来るべき大天使ガブリエルとの戦いも視野に入れ、ルシファーはストクを味方につける事にする。
 そしてストク、源為朝、藤原頼長は、前世の怨念をその記憶に刻んだまま赤子として現世、日本、京都に800年を経てようやく帰還を果たした。
ルシファーはすぐさま妻リリトを三人の迎えにやった。人選にぬかりはなかった。

スジャータ

「ストク様、かつてあなたが日本を呪われたとき、すがられた神仏に、鬼子母様がふくまれておりましょう。鬼子母様とは、リリト様の天竺での御名でございます」

ストク

「そうであったか・・・・・・昔あがめた神を殺したとあっては、気がとがめる。リリトよ、わしの条件をのむならば、ルシファーに会おう」

『怒りの妖帝』P184−185より引用

 ルシファーの元まで歩いて連れて行く、それが条件であった。
800年で日本がどう変化したかを見ておきたかったのはもちろん、黄泉での力を十分に振えるまで少し時間が必要であったのである。

 

 

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