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DDSの原点 >> 氷界の女王ストーリーダイジェスト
新デジタル・デビル・ストーリー2 出版 徳間書店
著者 西谷 史
初版 1991年2月28日

 氷

 
タイトルをはってるだけあって、ヘルは結構人気ですね。

 これ以降人間対ルシファーというより、悪魔間の権力抗争にスポットがあてられます。そして悪魔ロキの子供達が総登場します。ヘル&フェンリル兄妹コンビが妙に笑えるのですが、みなさまはどうでしょう。犬に「お兄さま」とか言ってる超美人さんのヘルってば映像的にも・・・プ。
 明日香はどちらかというと、彼らの骨肉の争いに巻きこまれといった感じです。ここで明日香はロキの嫡男ナリの力を取りこみます。荒ぶる神スサノオの形質が、暗い復讐の魂を引き寄せたのでしょうか。

 

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   原 本 構 成  
  設定資料集  
  第一章 >>魔都脱出  
  第二章 >>飛鳥へ  
  第三章 >>ニブルヘイムの妖女  
  第四章 >>黄泉の死闘  
  あとがき  

 

Ξ 第一章 魔都脱出 Ξ

 ルシファーはサンジェルマンの科学技術を高く評価し、必要としていた。弓子を逃がしたサンジェルマンの失態を追求することなく、結局ルシファーは彼の助言を容れベルゼブー、アスタロトを伴い天空に逃れた弓子を追った。
しかし、精神の抑制を失った弓子の力は凄まじく、苦戦を強いられた挙句アヤカシの力の転移によって取り逃がしてしまう。

 明日香と弓子の起した騒ぎによりバートリ邸は騒然としていた。
礼子を助けた明日香、タニグクと行動を共にしていたキララは合流して脱出を試みる。しかし混乱のさなか不用意に命を落とした礼子を蘇生させる為に、蟇蛙姿の神タニグクはその命の全てを大君(アマテラス)の転生に奉げる。
 新宿特別区から逃れた明日香達一行は米軍によって救出される。そこで明日香はかつて中島と共に悪魔と戦ったフィード教授と会った。
フィードは、「力」を持つ(・・・と予測される)明日香と礼子にアヤカシによって大和特別区の白鷺塚へと転移した弓子を追って欲しいと依頼した。

フィード

「私が掴んだ情報によれば、イザナミの死によって黄泉の世界の生物相になにか変化が起こったらしい。その変化をルシファーは恐れている。それ以上のことはわからん・・・・・・」

『氷界の女王』P46より引用

 大和特別区で黄泉への入口である白鷺塚の封印を任されているのは、ロキの嫡男ナリ。
彼は人間の一少女、八重垣亜矢に情を寄せる少し人間味をのぞかせる魔族であった。

 


 

Ξ 第二章 飛鳥へ Ξ

大和特別区へと物資を運ぶ特別区管理公団の視察官を装って明日香と男装の礼子は同地区へと潜入した。
二人は娼婦であった八重垣亜矢に現地案内を頼み、亜矢の弟、悟を含む護衛隊の2〜3人と奥地へ足を踏み入れた。ひとまず悟の情報でアヤカシに詳しいクエビコという老人の居るという居住区へと向う。

クエビコ

「(―― 中略 ――)もっともアヤカシをつくるからくりのうち、いま残されておるのは綾樫山の猿石(中島朱実を救ったことがある)だけじゃ。
あれもずいぶんと歳を経て腐れかけておったが、悪魔どもはそれを白鷺塚の封じ石として使いおった。それが白鷺塚の霊場で蘇って、女神を塚の内部にお移ししたのじゃから、皮肉なものじゃ」

『氷界の女王』P90−91より引用

 居住区の入口で、明日香は居住区を支配するヤクザの横暴さに業を煮やし早速衝突してしまう。
その場はナリの出現で収拾をみたが、クエビコ老人にアヤカシの秘密を伝授される最中報復を受ける。
クエビコの住居であるマンションの一室に礼子、亜矢、悟、クエビコを篭城させ、明日香は一人ヤクザの頭を倒しに銃弾飛び交う屋外へと飛び出していった。
 しかしヤクザを裏で操っていたのは、なんと明日香達と大和特別区へ同行してきた本職視察官の浅山であった。
明日香達が別行動をとる直前に明日香との間にちょっとしたいさかいを起していた浅山は、無法地帯の特別区内で復讐を成そうと機会を伺っていたのである。

 浅山は視察官の名で礼子達の警戒をすり抜けるとやすく篭城を解いてしまった。そして姿の見えぬ明日香をおびき出す為に女性と看破していた礼子を公然と陵辱し始めた。
見かねたクエビコ老人は密かにタニグクと同じ呪文を唱えると一時的に礼子の大君としての力を解放する。浅山を始め、攻撃を仕掛けるヤクザ達の精気を吸い取り次々と殺害していく礼子。
危機は去った。
弱々しく自らの腕の中で震える礼子に明日香の心は弓子と礼子の間で激しく揺れ・・・・・・
明日香は礼子を捨て弓子を選んだ。
懺悔に涙を流し、明日香は礼子をクエビコに預け先へ進む決意をした。

 多武峰談山神社。
一切の顛末は全て使い魔の蝿により、同社に居を構えるナリの元に伝わっていた。

 


 

Ξ 第三章 ニブルヘイムの妖女 Ξ

 サンジェルマンは黄泉の生態系の異変が地上への影響を危惧し、黄泉の調査を続けていたが、危険をはらむ異界の探索は一向に成果があがらずにいた。
 そんな折、新宿ルシファー宮殿に太陽風帆船ヨルムンド号を駆り、母方の巨人族のクルーを従え氷の国ニブルヘイムよりロキ娘でナリの異母妹であるヘルが訪れた。
用件は、魔界と現世の道を最初に開いたロキの功績は偉大なもので、嫡男ナリ同様娘である自分にも地球に領土を持つ権利が有ると主張する事であった。
ルシファーは弓子と明日香の捕獲の成功と引き換えに領土を与えることを約束した。
 しかし、ルシファーの思惑は別の所にあった。
弓子を追えばおのずと黄泉へと向う事になる。そうなれば進まぬ黄泉探索が急進すると考えたのである。

ヘル

「(―― 中略 ――)私どもの異母兄にあたるナリは、異世界への扉のある枢要な大和特別区を与えられております。私どもに何の沙汰もないのは、公平を欠く措置かと存じます」

『氷界の女王』P124より引用

 礼子を残した明日香、案内の亜矢、その弟で護衛の悟は、特別区内でも立入禁止区域である白鷺塚に至っていた。守護役であるナリが現れる。
明日香はナリと戦う覚悟を決めていた。滅法に力を振るう明日香を軽く受け流すナリは、彼を憎むべき敵というより、将来の好敵手を得たと感じていた。
 しかし、二人の戦いはヘルとその兄フェンリルの出現によって水をさされた形で中断される。

 ヘルの目的は地球のちっぽけな領土をその手にする事ではなかった。彼女は黄泉の世界そのものの実権を欲していたのある。
ナリは強力な極低温魔法を操るヘルと巨大な狼フェンリルの力の放出が、愛する亜矢を巻き込まぬよう、二人をけん制しつつ対峙する。
 二人の魔族を相手に苦戦するナリを少しでも助けようと、亜矢は彼の武器である黄金の弓を渡そうと極低温の中に飛びこんで行ったが、その想いは届く事無くその体ごと芯まで凍て付きナリの目前で粉々に砕け散った。
 ヘルの力は遥かにナリを凌駕していた。
ヘルの注意は亜矢を失い、彼女との力の差に戦意を消失したナリにはもはや目もくれず、当初の目的である明日香の捕獲に向けられていた。
しかし間一髪、明日香はアヤカシによって黄泉へと転送される。
危険を犯して術を施したのはクエビコ老人であった。彼は大和の神であったのだ。
大和の力を感知したヨルムンド号のレールガンに狙い撃ちされ、彼は明日香の行く末を案じながら命を落とす。

ナリ

「亜矢、誓っておまえの仇を討ち、この屈辱をはらしてみせよう」

『氷界の女王』P149より引用

 ヘルは明日香を追って黄泉へと急いだ。
取り残された形となったナリは、亜矢の砕けた首を抱きヘルへの復讐にその身を焦がす。
一人だけの力ではヘルに対抗できぬと知った彼は肉体を捨て、憑依し復讐を成就させる事の叶う肉体・・・明日香の闘神としての力を求めて黄泉へと向った。

 


 

Ξ 第四章 黄泉の死闘 Ξ

 白鷺塚羨道へと転移した明日香はナリとの力の差、ヘルに歯牙にもかけられ無かった事、さらに礼子を捨てた事を後悔し憔悴する自分を、中島への敵意で奮い立たせて先へと進んだ。
だが、黄泉の未知の植物によって死の淵に立った明日香を救ったのは中島朱実の亡霊であった。
自らの意思で現れた朱実の亡霊との交信の中で、明日香は朱実がどれだけ弓子を愛していたかを悟った。そして勇気付けられ、再び弓子を救う為にイザナミの玄室から黄泉の世界へと飛び込んで行った。
その後をまた父と同じくその子供達が、思惑を別に追っていた。

 明日香が次元の回廊より黄泉比良坂に至った時、いきなりその人は現れた。
白鷺弓子。
正気を失った彼女に明日香の言葉は届かない。
 間を置いて、ヘルとフェンリルも黄泉へと至った。
黄泉の住人達は人であろうと悪魔であろうと、生者の侵入を許さない。幾千もの黄泉人は分け隔てなく全ての侵入者に襲いかかった。
血で血を洗うような混戦のさなか、明日香に語りかける怪しい声があった。

ナリ

私はお前の影だ。おまえがのぞむなら、力を授けることができる。

明日香

「力をくれ!」

『氷界の女王』P177−178より引用

自分の非力さを十分思い知った明日香は、その暗黒の意思に従った。意思を持った「血」は明日香と同化した。
ナリの復讐心が明日香の憎しみを増幅させ、強大な力となって巨狼をあっさりと退けた。
フェンリルを倒した明日香にナリの影を見、さらに黄泉人達の集団攻撃にヘルは明日香の捕獲を断念し、自らの船ヨルムンド号が黄泉に到着し合流するまで一時退却を余儀なくされていた。

 ルシファーにはある仮説があった。
魔界、黄泉ともに距離は離れてはいるが、実は三次元に存在する惑星の一つではないか、と。
次元の回廊は異次元への道ではなく、距離を飛び越える道ではないか、と。
そしてヘルが黄泉よりヨルムンド号を呼び寄せた事により、その仮説は証明された。
宇宙の航海術を持つニブルヘイムの船は、正確に三次元空間に存在する黄泉へと進路を定めた。
ルシファーは先見隊として副官ベルゼブーをヨルムンド号に随行させ黄泉へ送る事にした。

 

 

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